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「報告」の前に「目標」を書く ― 記録を成果につなげる一行

多くの会社に、その日の業務を書き残す仕組みがあります。ノートでも、所定の用紙でも、社内システムでも形はさまざまですが、共通しているのは、書かれているのがほぼ「やったこと」だという点です。ここを少し変えるだけで、記録は振り返りの道具から、成果を動かす道具に変わります。やり方は簡単で、作業の内容より先に、その日の目標を一行書いてもらうだけです。
「やったこと」だけの記録は、後ろ向きにしか使えない
実績の記録は、何があったかを確かめるには役に立ちます。ただ、それは終わってから読むものです。書いている本人にとっては一日の終わりの事務作業であり、その日の行動そのものには何の影響も与えません。記録が形骸化しやすいのは、書く側にとって自分の得になっていないからです。
一方で、「今日はここまでやる」と先に書いた一行は、その日のあいだずっと効き続けます。人は、区切りが決まっている仕事と、なんとなく進める仕事とでは、まったく違う速度で動きます。同じ人が同じ作業をこなしても、午後の使い方が変わる。この差が、月単位では大きな違いになります。
目標は「徐々に」ではなく、期日と数字で置く
目標を書いてもらうと、「もう少し早くできるようにする」「徐々に改善していく」といった書き方が並びがちです。これは、書いた本人にも達成できたかどうか判定できません。判定できない目標は、翌日には忘れられます。
いつまでに、どこまでを、どんな数字で。この三つが入って初めて、目標は使えるようになります。年内に使いこなせるようにする、一日に三人へ声をかける、午前中にここまで終える。粒度は人によって違って構いません。大切なのは、本人が自分で決めて、自分で判定できることです。
書いた目標は、必ず人前に出す
書くだけでは続きません。多くの場合、三日で止まります。続けるために必要なのは、書いたものを見せる場です。朝の短い集まりで一人ずつ読み上げる、月に一度の会議に記録を持参して報告する。見せる予定があるから書く、という順番でかまいません。読み上げる時間は一人十数秒で足り、それ以上の説明は要りません。
このとき経営者の方に一つお願いしているのは、人が立てた目標を勝手に下げさせないことです。高すぎると感じても、まずはそのまま走らせる。未達でも失敗ではなく、高いところを狙った事実のほうに意味があります。下方修正を促した瞬間に、目標は自分のものから「やらされるもの」に変わってしまいます。
記録の様式を変えるのに、費用はかかりません。必要なのは、一行を先に書いてもらうことと、それを見せる場を月に一度用意することだけです。半年続けば、記録は過去の証拠ではなく、これからを決めるための材料になります。

