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資金繰り表をつくると、やるべきことが見えてくる ― 足りない月から打ち手を逆算する

資金繰りのご相談を受けると、多くの経営者の方が「苦しいのは分かっている」とおっしゃいます。けれども、どの月に、どれだけ足りなくなるのかまで言える方は多くありません。通帳の動きを一か月ずつ表に落としていくと、漠然とした不安が少しずつ「やるべきことの一覧」に変わっていきます。今回は、資金繰り表をつくる過程で何が見えてくるのかを整理します。
不足が「打ち手の一覧」に変わる
足りない月と金額が見えると、打てる手が具体的になります。抱えている在庫を売って現金に戻す、拠点の一部を手放して固定費を下げる、新しい仕入れや投資はいったん止める、金融機関に返済条件の見直しを相談する。どれも以前から頭にはあったはずですが、表の上で「この手でどれだけ埋まるか」を試してみると、自然と優先順位がつきます。
ポイントは、打ち手ごとに数字を置き換えて、表がどう変わるかを一緒に眺めることです。頭の中だけで比べていたときには決めきれなかったことも、残高の線が持ち直すのを目で見ると、何から手をつけるかがはっきりしてきます。
3年後、5年後の姿をイメージする
資金繰り表は数か月先で終わらせず、3年後、5年後まで伸ばしてみることをお勧めしています。売上の目標、固定費の割合、毎年の返済を置いていくと、今のやり方を続けた場合と、打ち手を実行した場合とで、数年後の手元資金がどれほど違うかが見えてきます。
固定費の割合を少し下げるだけで、数年先にはまとまったお金が残る姿になることもあります。逆に、何もしなければ毎年の返済に追いつかないことも、数字ではっきりします。数年後の会社の姿をイメージできると、今年やるべきことの意味も変わってきます。
見える化すると、ほっと安心する
資金繰り表をつくり終えたとき、多くの経営者の方が口にされるのが「なんだか、ほっとしました」という言葉です。たとえ厳しい数字であっても、どこがどれだけ足りないのか、いつ戻るのかが分かれば、人は落ち着いて次の手を考えられます。
不安の正体は、多くの場合「分からないこと」そのものです。見える化は問題を消してくれるわけではありませんが、問題を「扱えるもの」に変えてくれます。経営者が落ち着けば、社内への伝え方も、金融機関との話し方も変わってきます。
表ができたら、次は経営陣で月ごとの行動計画に落とし込みます。私はよく空欄の行を残して「ここに何をやるかを箇条書きで書いてきてください」とお願いします。その計画を持っていけば、金融機関との相談も前に進みやすくなります。資金繰り表は眺めるためのものではなく、やるべきことを決めるための道具です。そして社長が「やる」と決めて動き出すことが、何よりの原動力になります。

