Blog
組織図はあるのに、誰が誰を見ているか分からない

組織図の上では、誰がどのチームに所属しているかがはっきりしています。ところが実際に話をうかがうと、「書類上はAさんの下だが、日々一緒に動いているのはBさん」という状態が、あちこちで起きています。先日もある会議で、日々の業務報告を誰がまとめるのかという話から、そもそも所属をどう扱うのかという議論に発展しました。似た場面は、規模も業種も異なる複数の会社で見かけます。組織図の問題というより、日々の運用の問題として現れるところに、この話のやっかいさがあります。
実際の仕事の流れは、組織図より速く動く
人手が限られている組織ほど、目の前の仕事に合わせて人が動きます。繁忙の波、新しい拠点の立ち上がり、急な欠員。そのたびに「今回はこちらを手伝ってもらおう」という判断が積み重なり、半年も経てば実態は組織図とかなり違うものになっています。
これ自体は悪いことではありません。状況に合わせて柔軟に人を動かせるのは、むしろ中小企業の強みです。問題は、組織図に紐づいたままの仕組み――報告の提出先、勤務時間の確認、評価面談――が、その動きについていけていないことにあります。人は柔軟に動いているのに、書類だけが半年前の姿のまま止まっている、という状態です。
曖昧なまま放置されると、困るのは頑張っている人
帰属が曖昧なとき、最初に困るのは本人です。書類上の上司とは日常的に顔を合わせない。一緒に働いている人は、自分を評価する立場にない。結果として、どれだけ工夫して成果を出しても、それを見ている人がいないという状態が生まれます。
評価する側も苦しい立場です。よく知らない相手を評価しなければならず、面談をしても踏み込んだ話になりません。「面談する意味を感じない」という言葉が出てくるのは、担当者の熱意が足りないからではなく、仕組みの設計がずれているからです。

「所属」と「日々を見る人」を分けて決める
解き方は、組織図を実態に合わせて何度も描き直すことではありません。所属は籍として残したうえで、「日々の仕事を見る人」を別に決めて明示すればよいのです。名簿に一列足すだけでも、報告と評価の宛先ははっきりします。多くの場合、必要なのは新しい仕組みではなく、いま使っている名簿を実態に合わせて整えることだけです。
そのうえで、両方の立場の人に「あなたが見るのはこの範囲です」と伝えておきます。担当が重なる人、拠点をまたぐ人など、例外は必ず出てきますが、例外も含めて先に決めておけば運用は回ります。決めていないことが、いちばん働く人を迷わせます。
組織の形そのものを変えるのは大ごとですが、誰が誰を見るのかを決め直すのは今日からでもできます。人が動くことを前提に仕組みを整えておけば、柔軟さは強みのまま残ります。

