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外に出した仕事は、経験も一緒に出ていく ― 外注に頼りすぎない組織のつくり方

仕事とともに経験も外へ流れ出ていくイメージ

人手が足りないとき、外部の力を借りるのは有効な手段です。繁忙期の一時的な波や、社内に経験のない難易度の高い案件を外部の委託先にお願いすることで、多くの組織が実際に助けられています。ただ先日、ある会議で出た一言が、この話の別の面を照らしていました。「外に振るということは、その仕事で得られる経験も一緒に渡してしまうということですよね」。

「助かった」の陰で、社内に残らなかったもの

一件ごとに見れば、外部委託はきわめて合理的な判断です。手が空いていない、社内に経験者がいない、その案件は経験豊富な外部の方にお願いしたほうが早い。どれも正しい。けれども、その判断が積み重なると、難しい案件ほど外へ出ていく流れができあがります。難しい案件こそ、社内の誰かが一段成長するはずだった機会でもあります。

数年が経つと、社内には慣れた仕事だけが残ります。売上は保たれているのに、対応できる幅は広がっていない。ある方はこれを「自分たちの良いところを、少しずつ栄養のように渡してしまっている」と表現していました。空洞化は、業績が悪化して初めて気づくのではなく、業績が保たれているあいだに静かに進みます。

委託先は、ずっと隣にいてくれるとは限らない

委託先もまた、独立した事業者です。自らの事業が軌道に乗れば、外部からの受託を絞るという判断は当然ありえます。品質が期待に届かず、こちらから見直さざるを得ないこともあります。まとめて任せていた先が抜けたとき、社内に受け皿がなければ、その穴はそのまま取引先への迷惑になります。

外部への依存先が抜けると支えが欠けるイメージ

外部委託は変動費のように見えて、依存度が上がるほど固定費に近い性格を帯びていきます。頼れる先があるから採用しない、採用していないから頼るしかない。この循環に入ると、判断の主導権は少しずつ自社の外へ移っていきます。

「外に出さない仕事」を先に決めておく

ここで必要なのは、外注比率をどのあたりに置くか、あるいは「これは社内でやる」という線を方針として持っておくことです。たとえば、難易度の高い新規案件のうち年に何件かは必ず社内で受ける、と決めてしまう。決まっていなければ、そのときどきの忙しさに押されて「今回も外へ」が繰り返され、気づけば線引きは実績のほうから決まっています。

社内で持つ仕事と外に出す仕事の線引きのイメージ

この線引きは、採用の判断にも直結します。社内を厚くするという方針があるから人を増やす根拠が立つのであって、外に出し続ける前提なら人は要りません。さらに、経験の浅い人に任せられる易しい仕事まで外に出し切ってしまうと、人が入ってきたときに振る仕事が手元に残っていない、という事態も起こります。育てる余力は、意図して残さない限り生まれないものです。

外部委託そのものが悪いわけではありません。問題は、方針のないまま、そのときの忙しさで比率が決まっていくことです。何を外に出し、何は出さないのか。その一本の線を引くところから、経験が社内に積み上がる仕組みは始まります。

ご相談は無料となっております。 是非ご利用ください。

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