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「やることが増えたのに給料は同じ」をなくす ― 成果と処遇をつなげて見せる

生産性を上げようという話になると、経営者の方々はまず目標の数字を掲げます。一人あたりの生産量をここまで上げたい、外部の手を借りずに自分たちで回したい。方向性としては正しいのですが、ある会議で出た「その数字は、まだ見せていない」という一言に、うまくいかない理由が詰まっているように感じました。目標は伝えていても、それが働く人自身にとって何を意味するのかが伝わっていないのです。
「やることが増えたのに、給料は変わらない」
改善や効率化を進めると、働く人の側から見れば、求められることは確実に増えます。段取りを見直す、無駄を省く、進み具合を記録する。ところが処遇が変わらなければ、それは「会社のための追加の仕事」にしか見えません。多くの場合、社員の方々は口には出さなくても、この割に合わなさを感じています。
会社の成長が自分の成長や収入につながる、という感覚は自然に育つものではありません。経営者にとっては当たり前の「会社のため=自分たちのため」という等式も、社員の側ではまだつながっていないことが多いのです。
指標と処遇を一本の線でつなぐ
そこで有効なのが、「この指標がここまで上がれば、給料はこれだけ上がる」と具体的に示すことです。漠然と「頑張れば報われる」ではなく、一人一日あたりの生産量のように、本人が日々の仕事で動かせる指標を一つ決め、段階ごとに処遇がどう変わるかを示します。会社全体の売上や利益をすべて開示する必要はありません。見せるのは、本人が動かせる指標と、その先にある処遇だけで十分です。
目標値はあえて高めに置くのがポイントです。社内で一番できる人の水準を見れば、決して不可能な数字ではないことが分かります。低い目標は「今のままでいい」というメッセージになりますが、手の届く範囲で高く置けば、やり方そのものを変える工夫が生まれます。
「どうすれば届くか」は本人たちに聞く
道筋が見えたら、次はやり方の見直しです。ここで経営者や一部の中心人物だけが方法を決めてしまうと、他の人は「言われた通りにやる」側に回ります。実は、手を動かしている人ほど「こうすればもっと早い」というアイデアを持っていることが少なくありません。遠慮や気遣いから、言わずにいるだけなのです。
一度ゼロベースにして、全員に「どうすればここまで届くか」を聞いてみる。数字と処遇の関係が見えていれば、その問いはもう他人事ではありません。朝の打ち合わせで「今日はここまで」と具体的に確認する習慣も、目標を日々の行動に落とし込むうえで効果があります。
人は、自分にとっての意味が分かったときに動きます。「頑張れ」と言う前に、「ここまで来たら、こう変わる」を示す。数字を掲げるだけでなく、その数字の先にあるものを見せることが、生産性向上の一番の近道なのかもしれません。

