Blog
折れない心が、賜杯を連れてきた。横綱・大の里、涙の復活優勝

けがに苦しんだ1年。勝てない日が続いても、横綱は土俵に上がり続けました。秋場所千秋楽、ついにつかんだ6度目の賜杯。その姿から、私たちが受け取れるものを考えてみます。
| 12勝3敗秋場所の成績 | 6度目幕内優勝 | 1年ぶり6場所ぶりの賜杯 |
千秋楽、相星決戦を制して
9月27日、両国国技館で行われた大相撲秋場所の千秋楽。横綱・大の里は、同じ3敗で並んでいた大関・安青錦との直接対決に臨みました。立ち合いから一気に前へ出て突き放し、決まり手は突き出し。12勝3敗で、昨年の秋場所以来となる優勝を決めました。
今場所は横綱・豊昇龍が初日から休場し、大の里は「一人横綱」として番付の最高位を背負う立場でした。12日目までは独走していたものの、13日目・14日目と痛い連敗。それでも最後の一番で、横綱としての意地を見せてくれました。
順風満帆から、一転して
始まりは昨年11月の九州場所です。横綱として初めての優勝を果たした直後の場所で、左肩を痛め、自身初の途中休場。そこから、思うような相撲が取れない日々が続きました。
| 初場所 | 10勝 |
| 春場所 | 途中休場 |
| 夏場所 | 全休 |
| 名古屋場所 | 9勝 |
| 秋場所 | 12勝3敗で優勝 |
正直に言うと、このころの大の里を見ていて「このまま引退してしまうのではないか」と心配になったほどです。あれだけ圧倒的な強さで横綱に駆け上がった力士が、休場を繰り返し、白星もなかなか積み上がらない。ファンとして、見ているのがつらい時期でした。
調子が悪くても、土俵から逃げなかった
印象的だったのは、7月の名古屋場所です。12日目を終えて6勝6敗。周囲では途中休場もささやかれていましたが、本人は「どうなろうと15日間出ると決めていた」そうです。結果が出なくても、最後まで土俵に立ち続けることを選びました。
その後の秋巡業では、相撲を取らない日にも、肩のための地味なトレーニングを汗だくになって続けていたと報じられています。派手さはないけれど、今できることを一つずつ積み重ねる。その時間が、今場所につながったのだと思います。
師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)も、けがを通して自分の体と向き合うことで成長してほしい、と弟子を見守っていました。本人も優勝後、けがの前と比べて相撲のスタイルが少し変わり、新しい発見もあったと語っています。つまずいた経験を、ちゃんと次の力に変えていたわけです。
賜杯の前で流れた涙
優勝が決まり、賜杯を前にした大の里の目からは大粒の涙がこぼれました。優勝インタビューでは、去年のけがから先が見えなかったことを振り返りながら、こう話しています。
「この景色だけを見たくて」― 秋場所 優勝インタビューより
また優勝できるのか、この先大丈夫なのか。そう考えた時期もあったと、本人は率直に明かしています。それでも諦めず、師匠に支えられながら土俵に戻ってきた。その一年分の重みが、あの涙に詰まっていたように感じます。
私たちの仕事にも通じること
調子が良いときに頑張るのは、ある意味でかんたんです。本当に問われるのは、うまくいかないとき。結果が出ない時期にも逃げずに続けること、地道な準備をやめないこと、そして支えてくれる人を信じること。大の里の一年は、そのことを改めて教えてくれました。
本人はすでに次の目標として、11月の九州場所での全勝優勝を掲げています。苦しい時期を越えた横綱が、どんな相撲を見せてくれるのか。みんなで応援しましょう。
出典
本記事は2026年9月27日〜29日の報道をもとに構成しています。

