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マニュアルは、配っただけでは動かない ― 「教える人」を決めるまでが仕組みづくり

マニュアルを手に、新しく加わった人に寄り添って教える様子

最近は、業務マニュアルを整えようとする会社が増えました。AIの力を借りれば、手順書の下書きは驚くほど短時間で形になります。ところが、ご支援先の会議で「せっかく作ったのに、使われていないのではないか」という声が出ることも少なくありません。作ることと、使われることの間には、思っている以上に距離があります。

なぜ、作ったマニュアルは使われないのか

多くの場合、原因は中身の出来ではありません。丁寧に作り込んだマニュアルほど、受け取った側からは「読むのが大変なもの」に見えます。そして、配った後に「これを使って教えてください」と相手に任せたところで、手順は止まってしまいます。日々の仕事に追われている人にとって、教える準備はどうしても後回しになります。

加えて、新しく加わる人の経験や言葉、育ってきた環境は以前より多様になっています。仕事の手順の前に、身を守るための言葉の意味や職場の当たり前から伝える必要がある場面も増えました。文書を渡すだけでは、そこまでは届きません。

マニュアルを「動かす人」を決める

そこで考えたいのが、マニュアルを使って教える役割を、誰かの正式な仕事にすることです。ある会議では「担当者を一人決め、少し手当をつけてでも、入口の指導を任せてはどうか」という提案がありました。教える人が決まれば、受け取る側の負担も減り、「誰がやるのか」で止まることがなくなります。

もちろん、適任者が日々の業務で手一杯なら、すぐには難しいかもしれません。その場合でも、まずは対象を絞って説明の場を設ける、手が空いた時に出向いて使い方を一緒に確認する、といった小さな形から始められます。使ってみた人の感想を集めて中身を磨いていけば、マニュアルは少しずつ「使う人の言葉」に近づいていきます。大切なのは、「配って終わり」にしない段取りを最初から計画に入れておくことです。

余裕のある時期こそ、教える仕組みを整える

教育の仕組みづくりは、どの会社にとっても終わりのない課題です。そして多くの場合、「今はそれどころではない」という理由で止まります。忙しい時期に腰を据えて整えるのは、現実的に難しいものです。

だからこそ、少し落ち着いている時期は好機です。人数は増えたのに、少し忙しくなるとすぐに手が回らなくなる。そんな状態のまま次の山場を迎えれば、同じ混乱が繰り返されます。余裕のある今のうちに、教える人と教える場を決めておくことが、次の山場への一番の備えになります。

マニュアルは、完成した時点ではまだ道具の半分です。使い方を伝える人がいて、はじめて組織の力になります。作ったまま眠っている手順書がないか、一度見直してみてはいかがでしょうか。

ご相談は無料となっております。 是非ご利用ください。

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